インターン生活その1

UNEPでインターンを始めて一週間が経過しました。いやいや、これは思いのほか、結構おもしろいですね…?


なにがおもしろいって、まず一年間のブランクはあれどそれまで役所で関わっていた仕事で背景知識は既にあるため、扱いはほとんどスタッフ同様で、スタッフと一緒にいろんな業務に同時並行で従事しています。そうすると、組織の動き方がよく分かります。仕事の進め方、クリアの取り方、裁量の程度、ボス(課長)、大ボス(局長)との距離感、政治的な力など、役所に似ていると思うこともしばしば。これって、役所と国連という公的セクターに共通点が多いせいなのか、はたまたどんな職場でもある程度共通なのかしらんと思うのだけど、私の知る職場が役所に限られてるのでそこらへんは良く分からない。


しかし、国連特有の無秩序っぷりも顕著。いや、これって、国連の問題というより多文化・多民族の中で働くことの難しさのような気がしますが。とにかくミスコミュニケーションなのか常識の違いなのか、思いもよらないことが多々起きます。そもそも、スタッフ自体も出張で世界中を飛び回っているため、職員間でもいつも十分に意思疎通が取れているわけではありません。その上、ITの進歩でいつでもどこでもメールがチェックできるため、在宅勤務のスタッフ、出先からブラックベリーでメールしてくるスタッフ、出張中のスタッフのメールが入り混じって(時にすれ違う内容で)相手先に届けられます。その上、世界中にオフィスがあって時差によって働く時間がずれているため、四六時中どこかしらからメールが入ります。私の働いているチームの場合、機構上、リージョナルチームの統括はパリオフィスがやっています。細かい大ボス(inパリ)があれこれ口を出してくるのはどこかの役所にそっくりなんですけど、時差があるためにさらにタチが悪い事態になります。


たとえば、いまやっている仕事の一つに、月末にモンゴルで行うpublic-private partnership(官民連携)のワークショップの開催準備があるのですが、バンコク時間の昼間に決めたことが、パリ時間の昼間(バンコクの夜)にあっさりひっくり返されて、「ええ、今頃ワークショップのタイトル変更で(議事次第はずっと前から見せてんのに。そしてもう垂れ幕とかバッグとか発注してんのに)、しかもフォントまで指定ですか!?(細けーよ)」みたいな。アメリカのUSEPAからは、1名既に参加登録してたのに、別の人から、「そいつじゃなくて私が行くから私の旅費を払え」と言われる(しかもあなた方同じ部署ですよね…?)とか。うちのリージョナルオフィスの所長が同じ時期にモンゴルにいることをなぜか別のオフィスから知らされて(横の連絡悪い)、「ええ、オープニングセレモニーで挨拶してもらわないとじゃん。ていうか、そんなにホテル泊まれるっけ!?」とか。なんだか知らないが政治的な理由により4日4晩セレモニーとレセプションが予定され、どのセレモニーは誰が主催で、どのレセプションには誰を呼ぶのかUNEP側とモンゴル政府側で大混乱してるとか。超disorganized。他人事なだけにおもしろすぎるぜ、これ。


いやいや、彼らが無能だとか効率が悪いということじゃなくて、優秀だしよく働くスタッフ達なんですが、それでもこんなに意思の齟齬があって、多文化の中で働くって大変なんだなぁと…。それにしても、こんな状況でなんで早く帰れるんだろう(ボスはブラックベリーで家にいても常時メールチェックしてるけど)。割りきりっていうか、悟りの境地でしょうか…?


そんなこんなで、ワークショップ担当の職員が現在モルジブに出張中のため、なぜか彼のあとを背負って大いに働かされております。うぬぬ、こんなに忙しく働く予定では…。こんな、来て一週間もしないようなインターンが書いた文章がどんどんそのまま使われたりするあたりの適当さと忙しさ(要は丁寧に校閲する暇がないので少々の質の悪さは目をつぶってもそのまま使う)は、役所に似てる。なんだか知らないうちに、そのワークショップ支援のためにモンゴルにまで行くことになってしまいそうなんですが。しかも、UNEPが旅費まで出してくれるらしい。なんだか、私に行かせてあげようというような思いも見え隠れしてるようで、UNEPにお金がないのはよーく知ってるし、私が行って何の貢献になるのか、それより途上国のために使ったほうが良いと彼らと話し合ったのだけど、いろいろ理由をつけて行こう行こうと。うーん…。


行くには越えねばならないいろんなハードル(役所の渡航先追加、フライトの変更、ウガンダインターンの開始日変更、UNDPとウガンダ政府の許可)があるんですが、長くなったのでそれはまた次回ということで…。それにしても、バンコクでのインターンは、仕事自体は新しいものではないし、久しぶりに友人達の顔を見るのと就職相談に、ぐらいに思っていたのに、内容をよく知っているからこそ、こういう濃い関わり方が出来るという利点もあるのですね。周りの国連インターンは話を聞いていると、個人ベースでの調査研究が中心で、チームにがっつり関わるってのはなかなかないので。そういう意味では、思いがけず、貴重な経験をさせていただいておりますです。