新内閣誕生

どうもブログが愚痴っぽくなっていたため、何人かの方に「忙しそうで…」と気を遣わせてしまいましたが、徐々に慣れつつあります。気遣っていただいてありがとうございます。今週は、図書館で勉強するリズムが出来てきたことと、気軽に話せる友人も増えてきたので、精神的にはだいぶラクになりました。


今日は、日本研究で有名なカーティス教授による講演「日本における新安倍政権の評価」を聞いてきました。首相指名・組閣と同日にこういった講演を組んでしまうあたり、対応の速さに感心させられます。タイのクーデターについても、直後に講演会が催されていましたし。


カーティス教授の講演を聞くのは初めてだったのですが、本当に日本の政治事情に精通していて、日本人以外が聞いてどこまで理解できるのかっていうような機微な話までしていて、感嘆でした。安倍首相の評価については、彼に閣僚経験がなく、"untested"であること、具体的な政策メッセージが未だ"unclear"であることなどから、彼の就任が"premature"(時期尚早)であったと言われるか否かは、"wait and see"(様子見)の状態であると言っていました。
新内閣については、小泉首相のようなサプライズ人事はなく、"not exciting","no strong message"であり、彼が橋本内閣からの系統である官邸主導を続けていくには、"from style to substance"つまり政策の中身をどれだけ打ち立てられるか、さらに小泉首相のような強いパーソナリティではなく、いかにチームワークを実現してコンセンサスを形成していくかだと。また、最も注目すべき人事の一つとして、塩崎副大臣官房長官への抜擢を挙げ、官邸機能を強化し、塩崎氏や大田氏を中心に経済advisorの布陣を敷いた点を説明していました。


と、概略だけ書くと当たり前のことにも聞こえますが、靖国参拝日中関係憲法改正集団的自衛権教育基本法見直し、消費税増税、再チャレンジ、参院選などなど、およそ日本で話題に上るトピックをほとんど網羅しながらの話は圧巻。個人的に興味深かったのは、日中関係が今後6ヶ月は改善され、"honeymoon"が続くだろうけれど、靖国参拝によってそれが遮られるのではないかということと、民主党が政権を執るのもそんなに遠い未来ではない(一般的な話として。ただし、政策の違いはほとんどない)と言っていたことでした。


実は安倍さんには、官房長官時代に一度お会いしたことがあります。自民党の今ホットな政治家たちと「志」を持つ官民の若手を集めた少人数での夕食会の場で、他省の先輩に声をかけていただいた(おそらくマイノリティな役所出身かつ女性で、政治への興味が薄く、夢を語ったりする私が多様性の確保の観点からちょうど良かったのでしょう)ものなので、全く私のコネでもなんでもないのですが…。そのときに集まっていた政治家の方たちは、塩崎さんはじめ、多くが補佐官等の要職に就任されてしまいました(今から考えてもあの会は私の身に丈には合ってなかったのでしょう…)。安倍さんは、頭の回転が早く話も巧みで、さすがという感じでしたが、もともとはどちらかというと無口で、芯は強いけれどがんがん前に出て行くタイプではないのではないかと感じて、しかし情勢的にはどんどん前に押し出されて、そういう人に政治家という職は大変だろうなぁと勝手に思っていました。ま、短時間の会話で何が分かるかって話なのでここらへんは適当に読み流してください。ということもあり、また、首相就任のタイミングが彼の政治家人生にとって果たして今が時宜なのかという懸念もあり、個人的には静かに見守りたいと思います。


小池さんは国家安全保障担当になってしまいましたね。彼女の本来の興味にはそちらのほうが近いのでしょうし、こちらも陰ながら応援です。