UNEPでのお仕事

さて、インターン先で一体何をしているのかも書いておこうと思います。


私のsupervisorを引き受けてくれたのは、UNEPのベストセラーであるAtlasGlobal Environment Outlook(GEO)などの環境評価・モニタリングデータの北米地域の取りまとめを担当されているインド人の職員さんです。非常に親切で良い方で、私のインド人に対するイメージを更に上げてくれました。


そんな彼から初日に言われたことには、
「2週間しかないもんねぇ、どうしようかねぇ。GEO Year Book 2007に新たに盛り込むコンテンツの執筆のためのリサーチをしてもらおうと思うんだ。トピックは2つあって、1つはナノテクが環境に与える影響、もう1つはグローバリゼーション、特にITが環境に与える影響なんだけど、どっちやりたい?」
「どっちでも、よりあなたの助けになることをやりたいと思うけど、しかしグローバリゼーションの環境影響っつーのはえらい漠然としてますね…。」


というわけで、ナノテクを選択することに。これだって十分広範囲なんですが、グローバリゼーションよりはましかと。


ナノテクの最新技術のレビュー、環境に与える正負の影響、取りうる対策・政策案(政府だけじゃなくて国連、UNEPが何が出来るかの視点を含む)などをまとめて、科学者さんたちが集まって原稿執筆する際のインプットにしたいとのこと。
さすが未知数の2週間ビジター、どっちに転んでも(出来が良くても悪くても)調整の利く仕事の振り方です。


で、彼は幾つかの文献を授けてそのまま出張に旅立ってしまいました(涙)。帰ってくるのはなんと今週の金曜日。インターン最終日です。
彼が不安なら私も不安、果たして2週間でどこまで出来るものかしらと思っていましたが、先方の期待以上の仕事をするのが今回の目標の一つ。ここは頑張らねばねば。


幸いだったのはナノテクノロジーがまだ新しい分野で、関連する文献がせいぜい10年程度の蓄積しかないこと。
最初こそ、ネットで検索される膨大な資料を前に気を遠くしていましたが、幾つか読み飛ばしていくうちに、同じ研究者、同じ文献へのヒット率が高くなってきます。
そうなってくるとしめたもので、そのトピックに関する学術的議論の趨勢を大体掴めたかのような錯覚を覚えることが出来ます。修論執筆の際の文献調査を彷彿とさせますね。


あとは、単純な頼まれ仕事も少しやっております。
今日頼まれたのは、現在空席になっている副所長のポストに応募してくる履歴書の仕分け。
具体的な話はもちろん言えませんが、応募者の職歴の多様さに感心するばかり。
といっても、多方面から応募がある、ということではなくて、一人一人が経験している職の数が多いということです。
政府機関や国際機関とNGOや民間会社を行ったり来たりするのは当たり前、5年と同じ組織にいません。


こういう働き方って、組織にコミットするのではなくmissionにコミットするという感じでしょうか。
職員の話を伺っていても、今のポストに執着することなく、運とタイミングを掴んで次のポストに移っていくような距離感があります。
転職が増えたとはいえまだ一大決心を伴う日本とは異なりますが、そんな生活も、一旦そのサイクルに入れば、結果的にそうなってくるようなものなんだろうなぁという気もしています。