クーポンがめんどくさいワケ

スーパーの特売クーポンとか、レストランや映画の割引券とか、調べて、切り抜いて取っておくのってめんどくさいと思いませんか?
私は、あれが相当苦手で、財布の中はショッピングカードの類で膨れ上がるし、割引券を貰っても、結局使いたいときには忘れてしまったりで、「この電子化の時代になんであんなにアナログなやり方なんだろう」って思っていました。


しかし、あのめんどくささにはきちんとワケがあることを経済学の授業で知りました。


あれは、price discriminationと呼ばれる販売戦略の一環で、同じ商品を異なる購買層に異なる価格で販売するというもの。
つまり、商品により高い価値を置いていて、値段が少々高くても買う人には高い値段で売り、安い値段で初めて買おうかどうか考える人には安い値段で売ります。
そうすることで、一律に平均的な価格で販売した場合よりも、より広い購買層を獲得でき、より高い利潤が得られます。


売り手側にとっては願ったりの戦略ですが、全く同じ商品なのに、買う人によって値段を変えるなんて難しいですよね。
(スーパーに陳列されているりんごを買いに来た人に、「あなたは100円」「あなたは120円」と言っても買ってはくれません)
どの人が高い値段を払ってくれるか、どの人は安い値段じゃなきゃ買わないか、それを見極めて選別する方法が必要になります。


選別の鍵となるのが、先のクーポンの例でいう「めんどくささ」なんです。
忙しいビジネスマンや豊かな人たちは、広告をチェックして、クーポンを切り抜き、店に持っていって購入するという一連の作業をしてまで安い商品を購入したいとは思っていません。むしろ時間が惜しいと思う。つまり、彼らは「高い値段でも払ってくれる人」です。
一方で、時間に余裕がある人やお金がない人は、手間をかけてでも安い値段で買いたいと思う。彼らは「安い値段じゃなきゃ買わない人」です。


クーポンを使うことによって、その商品の値段を少し高めに設定して「高い値段でも払ってくれる人」からは付け値をいただき、「安い値段じゃなきゃ買わない人」にはクーポン分を割り引いた値段で商品を買ってもらうことができる、というわけです。


なるほど、クーポンはめんどくさくないとクーポンの意味がないわけですね!
私は富裕層でもないのに、見事にこの戦略にはまって、高い値段で買わされていたわけか。。


しかし、教科書さんの言うところによると、「高い値段でも払ってくれる人」も一概に損しているわけではないそうです。
売り手がこうして販売数を増やすことによって、1商品当たりのコストの低減が図れるので、結果として価格が安くなることもあるし、また、高い値段を払うビジネスマンや富裕層が望むようなコストのかかるサービス(例えば、スーパーを深夜まで開いて欲しいとか)を提供することも可能になると。


ほほう。。
経済の勉強をしていると、他にもいくつか「そうだったのか!」という新鮮な発見があります。勉強の楽しさ、醍醐味はまさにここですね。他の発見についても、おいおい書き留めていきたいと思います。