よだれが…

スターはちょっと変わった猫である。(ちなみにスターは彼ではなく彼女であることを、前回のエントリ後すぐに飼い主から聞いた。)


なにが変わってるっていろいろあるのだが、まず大きな音に異様な執着を示す。例えば私がドライヤーをかけていると、部屋にやってきては、ずっと隣で眺めている。こっちが落ち着かない。掃除機にも敏感に反応する(これは犬と同じか)が、警戒心と興味があいまって、すごい勢いで後ずさりしながら掃除機と一定距離をキープするのがおもしろく、深追いしていたら次からは距離が遠ざかった。猫は人間よりよっぽど耳がいいはずなので、うるさくてたまらないんじゃないのかと思うのに。
また、プリンターを使っていると、大きな音を立てながらトナーが中で左右に動くのに反応して、プリンターに何度も猫パンチをくらわしているのにはウケた。


次に、彼女はキャットフードしか食べない。「キャットフードしか与えていない」の間違いだろと思われるかもしれないが、実はそうではない。飼い主にナイショでこっそり食べ物を与えようとたくらむ悪い輩がここにいるから。しかし、彼女は私がわざわざ手の上に乗せた食べ物でさえ、ふんふんとにおいをかいだあとに、それは無視して私の手を舐めるような猫なのだ。キッチンに立つと、キャットフードをねだってすり寄ってくるくせに、落ちた食べ物かすには見向きもしないし、床に置いてある袋の中身を漁ることもない(これは、ちらかったアメリカ人の家で暮らすペットにとって必須要件のように思う)。彼女を膝の上に乗せたまま、人間様の夕御飯を食べるということも可能なのである。


これはうちで昔飼っていた犬ではあり得ないことである。最初はたいそうな衝撃を受けた。生まれてからキャットフードしか食べてないと、こうなるのだろうか。しつけが良いということなのかもしれないが、なんて生存能力が低いんだろうと他人ごとながら心配になる。私は、自分の家庭がそうだったためか、ペットも人間も基本的には同じものを食べたら良い(もちろん味付けはごく薄くするけど)と思う派なので、毎日キャットフードばかりで果たして飽きないのかと不憫に思ってしまう(←大きなお世話)。昔は人間の食べ残しをペットにやるのが当たり前だったんだし、野性では雑食なんだし、いくらドッグフードやキャットフードが栄養価に優れているとはいえ、もし自分が毎日完璧な栄養バランスのとれた栄養剤だけを食べろと言われたら嫌だよなぁとナイーブに考えてしまう。


さらに、彼女には舐め癖がある。猫が自分の体を舐めて毛づくろいしているのはよくある光景だが、彼女の場合、そのまま自分の座っているソファやら布団やら私の服やらまで舐めだす。しかも舐め方が半端ではなく、しばらくほっておくとシーツカバーの丸いしみがどんどん広がっていく。そこには毛は生えてませんよと声をかけても聞く耳を持たない(やめさせようとすると攻撃してくる)。かくして私のシーツカバーは彼女のよだれ染みだらけとなるが、可愛さのあまりなかなかむげに出来ないのが弱いところである。


長かった一週間が終わってようやく週末。先週末はretreatでお出かけしていたため、2週間が休みなく続いたような感覚だったので、今日は久しぶりの開放感である。ま、週末も大半をリーディングに費やすのではあるが。